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ビジネスシーンで多用される回帰分析とは。目的、メリット、活用法をわかりやすく解説

ビジネスシーンで多用される回帰分析とは。目的、メリット、活用法をわかりやすく解説

未来値の予測や因果関係を把握できる「回帰分析」は、経営戦略やマーケティング施策の構築などで有効活用でき、ビジネスシーンで多用されている分析手法です。回帰分析の知識や活用経験があると転職市場でも有利となるので、ぜひ取得しておきたいスキルのひとつです。

ここでは、回帰分析の基礎知識やビジネスでの活用例、重回帰分析の進め方などを解説します。

回帰分析とは

最初に、回帰分析の目的や計算方法などの概要を解説します。

■回帰分析とは

回帰分析とは、「何かを行うこと(説明変数)」が「結果(目的変数)にどのような影響を及ぼしたか」という因果関係を明らかにする分析手法です。例えば、来店者数がどのように売上高に影響を与えているのかを分析したい場合、回帰分析では売上高が「目的変数」、来店者数が「説明変数」となります。

回帰分析では、「どのような機能があると高い価格が設定できるか」という予測も可能で、数値で明確に根拠ある推論を立てられることから、多くの企業やビジネスシーンで活用されています。

なお、説明変数が1つの場合を「単回帰分析」、2つ以上の説明変数を使う場合を「重回帰分析」と呼びます。

■回帰分析を活用する目的

回帰分析は、主に以下の目的で使われます。

●影響の大きい要因・因果関係を推定する

回帰分析を利用することで、ある結果(目的変数)にどの要素(説明変数)が最も影響したかという、影響の大きな要因を明らかにできます。

例えば、「今回の売上増(目的変数)は、広告キャンペーン(説明変数)が本当に奏功したのか」を検討したい場合、広告キャンペーンのほか、来店者数といったその他の要因を複数用意して重回帰分析を行います。これにより改善の優先順位を決定しやすくなり、直感や経験に基づく判断ではない論理的根拠に基づいた経営判断や対策を行えることになります。

●未来の値を予測する

手元にあるデータを使って重回帰分析を行えば、未来の数値を予測することも可能です。

例えば、駅まで500mの場所に新店舗を出店する際に、同じような条件の他店舗の利用者数や売上高などの説明変数を利用すると、新店舗のおおよその売上高を予測できます。また過去の広告宣伝費と売上データを利用すれば、新店舗の広告宣伝予算を計算式に代入することで、売上の推定値を算出できます。

一般的に予測の精度を高めるには、すべての変数を利用するのではなく、複数の変数の中でも影響の大きい変数を選ぶことが重要とされています。

■回帰分析の種類と計算方法

回帰分析は、以下の計算式で求められます。

●単回帰分析

単回帰分析は、ある要素とある要素の関係性をシンプルに確認したい時に使われ、1つの目的変数yに対して1つの説明変数xがどのように影響を与えているのかを検討します。

【単回帰分析の計算式】

y=ax+b(aとbは定数/偏回帰係数)

●重回帰分析

重回帰分析は、1つの目的変数yに対し、複数の説明変数xn(n=1,2,3,……)を用いて関係性を検討します。

【重回帰分析の計算式】

y=ax1+bx2+cx3+……+dxn+e(eは誤差)

回帰分析のメリット・デメリット

回帰分析のメリット・デメリットも把握しておきましょう。

■回帰分析のメリット

回帰分析のメリットは、数式を用いた分析方法なので、統計的に根拠のある推論が得られることです。また、結果に対して影響の大きい要因を明確にでき改善の優先順位を付けられるので、業務の効率化と費用対効果の高いマーケティング施策を展開できます。新商品のローンチなども、重回帰分析で売上や将来予測を立てられるので、精度の高い経営戦略構築に役立ちます。

■回帰分析のデメリット

デメリットとしては、抽出した要因となる説明変数のほかに、目的変数に影響を与えている項目が存在する可能性があり、この剰余変数の存在を見逃してしまうと、誤った分析結果になってしまうことです。また、説明変数同士が影響を及ぼし合っていることもあり、この場合は目的変数の予測を正しく行えません。

重回帰分析を行うにはむやみに説明変数を増やすのではなく、影響の大きな変数を選び、組み合わせなどの精査も行う必要があります。

回帰分析の活用方法

論理的根拠に基づく推測が可能な回帰分析は、以下のようなビジネスシーンで活用されています。

■売上予測

重回帰分析によって、数値的な根拠にもとづいた売上予測が可能です。目的変数新店舗の売り上げ予測とすると、説明変数は店舗面積や駅からの距離、商圏内の競合店舗数、店員数、過去の売上、広告宣伝費などが考えられ、これらの中から影響度が高いものを選択します。

■広告クリエイティブの最適化予測

Web広告のクリエイティブの最適化にも、重回帰分析は重宝します。例えば、広告のクリック率が目的変数の場合、広告のビジュアルやキャッチコピー、背景色、デザイン、レイアウト、素材などの説明変数で推測できます。Web広告の評価に多用されるA/Bテストを行う前の、仮説構築にも活用できます。

■顧客の満足度に影響する因子を把握

企業のマーケティング活動において顧客満足度は重要なファクターですが、顧客満足度に対する影響度を調べる際にも重回帰分析は役立ちます。価格や品揃え、品質、接客、購入ルートの多様さ、ブランドイメージ、コスパなどの複数の説明変数を用いて導き出します。

■マーケティング施策の分析

重回帰分析は要因と結果を定式化できるので、出店コミュニケーション・プロモーション戦略策定といったマーケティングの現場でも多用できます。

重回帰分析を行う手順

ここからは、実際に重回帰分析を行う手順を段階ごとに説明します。

ステップ1.成果を左右する要因を抽出する

最初に、結果である目的変数を左右する説明変数を抽出します。仮に新店舗の売上予測を行うとしたら、店舗面積やアクセス、競合店舗数、客単価、広告費などが挙げられます。必要な変数に漏れがあると正確な予測ができないので、影響度の大きなものから精査して絞り込んでいきましょう。

ステップ2.データを集めて統計ソフトなどで重回帰分析を行う

説明変数が抽出できたら、必要なデータを集めていきます。変数が質的データの場合は、数値化しておくようにします。

ステップ3.重回帰式に説明変数代入して目的変数を算出する

重回帰分析はエクセルでも行えますが、無料・有料の統計ソフトもあるので、これらを活用して効率よく進めましょう。必要な説明変数の数値を重回帰式に代入すると、目的変数(結果)を得ることができます。

ステップ4.結果を活用して施策に繋げる

結果を得ることができたら、それを活かして経営戦略や施策につなげていきます。新店舗の売上予測や影響が大きな要因がわかれば、精度の高いマーケティング施策や運営戦略も立てやすくなります。

まとめ

回帰分析のうちでも特に重回帰分析は、結果に大きく影響している要因の把握や、さまざまな予測が可能なので、売上予測や営業・経営戦略の構築、マーケティング領域でも多用されている分析手法です。ビジネスシーンで重宝されるので、回帰分析の知識や経験があると転職の優良な武器となります。ぜひスキルを身につけておきましょう。

 

 

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