AIやDXの社会実装が進む中で、AI(DX)活用に関するアドバイスや提案をおこなう「AIコンサルタント」「DXコンサルタント」の注目度が高まっています。人材不足で需要が大きく、AIエンジニアやプログラマーからのキャリアパスも可能なAIコンサルタントやDXコンサルタントへの志望者も多いことでしょう。
ここでは、特にAIコンサルタントの仕事内容や主な活躍の場、必要なスキル、キャリアパス、転職するメリットなどを解説します。
AIコンサルタントという仕事
AIコンサルタントとはどのような職種なのでしょうか。DXコンサルタント・ITコンサルタントとの違いや、AIコンサルタントの具体的な仕事内容を詳しく解説します。
■AIコンサルタントとは
AIコンサルタントとは、クライアントが抱える経営課題や業務課題を、AIの技術を活用して解決に導く仕事です。これにより、業務の効率化や新規事業開拓、デジタル改革といったプロジェクトをサポートします。
具体的には課題解決のために、AI技術を利用してどうアプローチするか、データの収集方法は適切か、予測や観測に基づいた問題点の指摘などのコンサルティングや、体制や予算管理などのマネジメントを行います。
近年AIの需要は急速に拡大しているものの、明確な導入目的のもとで適切にAIを活用できているケースは多くありません。対応できるAIコンサルタントも不足しているので、この領域での転職需要は将来的にも拡大するでしょう。
■DXコンサルタントとの違い
DX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルタントとは、AIのほかIoT、VR・AR等も含む新しいデジタルテクノロジーを活用した、組織構造や企業変革の手助けを行う仕事です。DXコンサルタントは単にシステムを導入するだけではなく、DXを用いて新たなビジネスモデルや新サービス、顧客体験(CX)を創出するために、業務プロセスや業務システム、組織構造、企業文化などを改革する役割を担います。
■ITコンサルタントとの違い
ITコンサルタントは、ITに特化してその活用を通じて企業の課題を解決する専門家です。経営戦略に沿ってIT戦略を策定し、システム開発の提案やシステムの最適化を通じて企業の経営を支援します。
■AIコンサルタントの仕事内容
AIコンサルタントは、クライアントごとの課題に対して適切なAIソリューションを導入・運用する仕事です。そのため、クライアントの現状をヒアリングして分析を行い、それぞれに合った解決方法を導かねばなりません。
導入するソリューションが決まれば、的確に運用できるようにマネジメントを行います。予算や納期に応じて人材を確保して、的確な指示を出しながらスムーズに業務を遂行するのも重要な役割のひとつです。
AIコンサルタントの主な活躍の場
AIコンサルタントは、以下のような企業で手腕を発揮しています。代表的な企業とAI関連事業を紹介しましょう。
■マッキンゼー・アンド・カンパニー
アメリカのコンサルティングファームで日本にも支社がある「マッキンゼー・アンド・カンパニー」は、データやAIの活用はもちろん、コアテクノロジーの近代化や新技術導入、オペレーション最適化・自動化などを通じて、クライアントのデジタル成長を加速化させています。
■ボストン・コンサルティング・グループ
「ボストン・コンサルティング・グループ」も、同じくアメリカを本拠地とするグローバルコンサルティングファームです。データアナリティクスやAIも得意分野で、データアナリスト、データサイエンティスト、エキスパートコンサルタントなどによる高度な分析手法を駆使したモデル構築を提供しています。
■アクセンチュア
アイルランドが本拠地の「アクセンチュア」は、日本を含め世界中の様々な分野のコンサルティングを行うグローバルファームです。自社開発の「AI POWERED サービス」や「AI HUB プラットフォーム」で、クライアントのビジネスニーズに合った適切なソリューションの組み合わせを提案しています。
■IBM
「IBM」も高い技術力を持つグローバルなIT企業として、AIコンサルティングサービスを提供しています。自社の「Watson」は、1億人以上のユーザーによる実証済みの機能とエクスペリエンスを提供し、 AI運用の実用化で業務革新を支援しています。
■アビームコンサルティング
日本を拠点としてアジアを中心に世界各地でサービスを展開している「アビームコンサルティング」は、統計解析・データマイニング、機械学習・ディープラーニングに関する、高度なノウハウを活かしたソリューションを提供しています。
■富士通総研
富士通グループのシンクタンクである「富士通総研」は、主に社会・産業基盤に対するコンサルティングを請け負っています。サービスのひとつである「AI活用アセスメントサービス」では、AI導入の目的や運用方法などをイメージできない企業に対し、AI導入からコンサルティングまでワンストップで提供しています。
■野村総合研究所
「野村総合研究所」では、特にDX推進に力を入れており、DXやAIに関するコンサルティングを積極的に行っています。同社が誇る「NRI Solution AI」は、長年培ったAI活用の知見とノウハウを結集して、実践から導かれた業務・システム開発・運用が三位一体となったサービスです。
AIコンサルタントに必要なスキル・経験
AIコンサルタントになるのであれば、以下のようなスキルや経験を身につけておきましょう。また、あると有利な資格も解説します。
■求められる知識やスキル
AIコンサルタントには、以下のような知識やスキルが求められます。
●AIとIT技術全般の知識
AIコンサルタントになるには、AIやITなど技術全般にわたる幅広い知識が求められます。特にAI領域は、技術の進歩や実装できるサービスなどが年々拡大しているので、常に最新情報にアップデートしておくことが重要です。
●論理的思考力
クライアントの課題やニーズを理解して、適切なソリューションを提案するための分析力や論理的思考力も必要となります。
●コミュニケーション力
コンサルタントとして参画するので、クライアントに対して説得力のある提案力や、経営者や従業員と良好な関係を築くコミュニケーション力が求められます。
●経営スキル
AIコンサルタントは経営課題を解決する役割も担うので、経営的な知見やスキルも必要です。AIを活用できる経営コンサルとして、主体性やリーダーシップもあるとよいでしょう。
■必要な資格や試験
AIコンサルタントになるのに、必ず取得しなければならない資格はありません。ただし「基本情報技術者試験」や「Pythonエンジニア認定試験」、「統計検定」などは、AIに関する知識が問われる検定試験なので、資格を取得しておくと知識とスキルのレベルアップにつながります。
また、「G検定(ジェネラリスト検定)」「E検定(エンジニア検定)」も、ディープラーニングの基礎知識を有し適切な手法を選択して実装する能力や知識を問う検定なので、取得しておくと転職などで有利になるでしょう。
■AIコンサルタントに向いている人
知識や技術のほかに、探求心や知的好奇心が強い人は粘り強くクライアントの課題解決に取り組むことができ、AIコンサルタント向きといえます。また、人や社会に役立ちたいと、スキルを活かして改善や改革に積極的に取り組める人も適性があるといえます。
AIコンサルタントのキャリアパス
ここからは、AIコンサルタントへ転職するキャリアパスと、AIコンサルタントから他職に転職する流れなどを紹介します。
■AIコンサルタントへの転職
AIコンサルタントは資格などが必要ないことから、様々なキャリアから転職が可能です。AI領域の職種であるデータサイエンティストやデータエンジニア、データアナリスト、機械学習エンジニアなどは、今ある技術力に経営スキルなどを身につけると転職を有利に進められます。
ITコンサルタントやDXコンサルタントなどもAI分野の専門性を高めることで、今までのスキルを活かせるでしょう。
■AIコンサルタントからの転職
AIコンサルタントから他職に転職するなら、DXコンサルタントやCIO(情報統括役員)やCDO(最高デジタル責任者)などの経営幹部を狙うことができます。スタートアップなどで起業するのもよいでしょう。
AIコンサルタントに転職するメリット
AIコンサルタントへの転職は、以下のようなメリットを得ることができます。
■人材不足なので有利に転職を進められる
AI分野は社会実装がますます拡大しているものの、慢性的な人手不足状態です。AIの技術だけではなく、それを活かした課題解決・業務改革などを手がけるAIコンサルタントは、企業がまさに欲しい人材です。スキルを身につければ、転職も有利に進められるでしょう。
■年収アップを期待できる
AIコンサルタントは、一般的に年収が高いコンサルタントに分類されるので、エンジニア職よりは高い年収を期待できます。大手コンサルティングファームなども、AIコンサルタントやDXコンサルタントの求人で相応の年収を提示しています。
■CxOへの転職を狙える
AIコンサルタントやDXコンサルタントは経営者としての知見も有するので、CIOやCDOだけではなく、COO(最高執行責任者)やCEO(最高経営責任者)などの経営幹部を狙うことが可能です。上を目指す人なら、夢が広がる職種といえます。
まとめ
AIやDXの社会実装が進む中で、これらの効果的な活用を企業にコンサルタントできるAIコンサルタント・DXコンサルタントなどの人材は、今後ますます需要が拡大していきます。
AIエンジニアやプログラマー、データサイエンティストなどは経営スキルなどを身につけると転職も可能なので、年収アップやキャリアップなどを望むなら、AIコンサルタント・DXコンサルタントを目指してみるのはいかがでしょうか。
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