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研究職のキャリアを考える

研究職のキャリアを考える

 
研究職として仕事をする上で、誰しもが一度は「これからの自身のキャリアはどのように進んでいくのだろう」と不安に思ったことがあるでしょう。
 
また、アカデミアであれば教授や准教授を目指すキャリアパスが一般的である一方で、民間企業の研究職の具体的なキャリアパスはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、「研究職のキャリア」をテーマに、主に民間企業の研究職におけるキャリアパスの具体例や、研究職としてキャリアアップを目指す上で必要になるスキルなどをご紹介します。

 

【目次】
1-民間企業の研究職のキャリアは大きくわけて2つ
┗1-1マネージャー(管理職)
┗1-2スペシャリスト(技術職)
2-その他のキャリア選択
┗2-1 アカデミアへと戻り研究の道を極めるタイプ
┗2-2 研究組織から事業会社へと転籍・転職するタイプ
3-キャリアアップを目指す上で見落としがちな3つのスキル
┗3-1 コミュニケーションスキル
┗3-2 英語スキル
┗3-3 マネジメントスキル
4-まとめ
 

民間企業における研究職のキャリアパスは大きく分けて2つ

先述の通り、アカデミアの研究職であれば、キャリアパスとしては教授や准教授を目指すことが一般的です。

最初はポスドクからキャリアをスタートし、専攻分野の優れた知識と研究実績を積み重ねながら、助教→准教授→教授へとステップアップしていきます。
一方で、民間企業のキャリアパスは、大きく以下の2つに分かれます。
 

■マネージャー(管理職)
研究職における「マネージャー」とは、研究部門全体や他の研究者を管理するポジション。
民間企業で研究を続けている方の多くが、リーダーや主任といった役職を経て、このマネージャーのポジションにステップアップします。

主な業務としては、部門を取りまとめ、担当している領域の研究が円滑に進むようチームを機能させること。
加えて、予算管理や経営企画といった会社経営に関わる業務も多く、キャリアアップしていくにつれて管理領域も広がるため、そのぶん研究自体に携わる機会が減っていくといったケースもあります。

なお、管理職となる方々は、研究職を経験した後に、製造や営業など他部門における業務も経験している場合が少なくありません。
幅広い経験を積み、広い視野を得ることによって、マネジメント能力が向上することがその背景にはあるようです。
 

■スペシャリスト(専門職)
一方で、研究者としての知識や技術を高め、専門領域の研究に専念するキャリアが「スペシャリスト」です。

スペシャリストはマネージャーとは異なり、他の研究メンバーを取りまとめるといったことはほとんどありません。

論文の執筆や学会活動なども積極的行い、いわゆる“その分野のエキスパート”として研究業務をこなします。
専門分野に特化した研究を続けたい方にとっては、このスペシャリストを目指すことが現実的なキャリアパスと言えるでしょう。

なお、スペシャリストの場合もマネージャーと同じく、よりよい製品やサービスを研究開発するために、数年間にわたって営業部門などへ異動し、その後研究部門へ戻って研究を続けるといったケースも多いとのこと。
加えて、企業によってはキャリアアップの一環として、研究に役立つ資格取得などを福利厚生で支援している場合もあるそうです。
 

その他のキャリア選択

民間企業におけるキャリアパスは大きく分けて2通りあると述べましたが、これらは共に、自身が所属している同一企業におけるキャリアパスに過ぎません。これら2つに当てはまらないキャリア選択とは何か。

それが、「アカデミアへと戻り研究の道を極めるタイプ」や、「研究組織から事業会社へと転籍・転職するタイプ」です。
 

■アカデミアへと戻り研究の道を極めるタイプ
民間企業において研究職として活躍した後、アカデミア(大学)に戻って、教授として活躍するといったキャリア。

この道を進む場合、研究成果や実力はもちろんのこと、人脈の構築が何よりも重要になると言えるでしょう。

年代でいうと、40代~50代の層の方がこのキャリアを歩まれることが多いそうです。
 

■研究組織から事業会社へと転籍・転職するタイプ
民間企業での研究職から、事業会社に転籍・転職し、ビジネスマンとしてのキャリアパスを歩む方も一定数います。

その多くが、研究職の経験を活かし、エンジニアやセールスエンジニアといった職務に就いているケース。
このタイプの方々は、転職後に事業会社における管理職として昇進・昇格を目指していきます。
 

キャリアアップを目指す上で見落としがちな3つのスキル

研究職に就いていると、「自分の専門分野をさらに追求したい」と考える方はとても多くいます。

もちろん、自身のキャリアパスを描いていく上で専門分野の知識・スキルを深めていくことは必要不可欠ですが、
それに加えて実は必要になることが多い3つのスキルとその理由をご紹介します。

これらが重要であることを理解しておくと、「スキルはあるのに、今ひとつ実力に見合った給料やポジションを得られない」という失敗を避けやすくなるはずです。
 

■コミュニケーションスキル
民間企業における研究は、あるテーマや製品・サービスに対してプロジェクトが組まれ、基本的にチームで業務を進めていきます。
大抵は週1~2回ミーティングがあり、進捗状況や問題点の洗い出しなど、チームメンバーでのすり合わせが行われ、その際に問題があれば、先輩や上司などにアドバイスをもらい、またテストや検証を繰り返していくといった流れ。

ここで上手く自分の意見を伝えられなかったり、「必要なやり取りはするものの、仕事の話以外は一切しない」といった感じだったりすると、メンバーとの信頼関係も薄くなってしまうでしょう。

そういった観点から、研究職として収入アップやキャリアアップを狙うなら、コミュニケーション能力も必要不可欠と言えるのです。
 

■英語スキル
大手メーカーや大手グループ会社などは、海外に工場や研究所を持っていることもあります。
その中で、経験・スキルを身につけていくと、海外赴任を任されることも。

このときに必要になるのが「英語スキル」です。
理系だと英語が苦手という人も多くいますが、研究職としてキャリアの幅を広げるを上では必要なスキルと言えるでしょう。

なお、大手企業においては、「課長クラスはTOEIC650点以上が条件」といったように、一定の英語力が昇進の条件になっていることも少なくありません。

会社で英語教育プログラムが用意されている場合などは、ぜひ積極的に利用してスキルアップを目指すのがいいでしょう。
 

■マネジメントスキル
キャリアを積んでいくほどに必要になってくるのが、3つ目に挙げる「マネジメントスキル」。

なぜなら、それまでは1人のプレーヤーとして研究成果を追求すれば良かったものが、役職がついてくると「チームで結果を出すこと」が求められるからです。

チームメンバーをまとめて目標を達成するためには、自身が頑張るのとまた違った能力が必要です。
そのため、マネジメント能力はスキルと捉えられているだけでなく、これを身につけている研究者はとても市場価値が高くなる傾向。

実際に、マネジメント経験がある研究者の場合には、転職が有利になるというデータもあります。
 

まとめ

今回は「研究職のキャリア」をテーマに、キャリアパスの具体例や、研究職としてキャリアアップを目指す上で必要になるスキルなどをご紹介しました。

「まだどんなキャリアパスを選べばいいのかわからない」という方は、今後自身が研究を通じて達成したいことを具体的に思い浮かべてみるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

加えて、短期・中期・長期などの期間で分け、目標を定めてみるのもいいかもしれません。
本記事が、あなた自身のキャリアを思い描く一つのきっかけになることを願っています。
 

 

 

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