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記述統計と推測統計の違い|有効な活用方法も徹底解説

記述統計と推測統計の違い|有効な活用方法も徹底解説

ビッグデータの活用が一般的となった現状では、膨大な量のデータを分析してデータの特徴やパターンなどを検証する統計学がさまざまな分野で利用されています。中でも記述統計や推測統計の知見があれば、転職でも有利な武器となるでしょう。

ここでは、記述統計と推測統計の違いや活用例などを解説します。

記述統計・推測統計は統計学の種類

最初に、統計学の意味や種類などの基礎知識を解説します。

■統計学とは何か

統計学とは、ばらつきのあるデータを応用数学の手法を用いてその性質を調べ、元の大きなデータの規則性や不規則性を推測する方法論を体系化した学問です。

AIやIoTの進化により、ビッグデータの活用が飛躍的に増えています。膨大かつ多様な情報の中から課題解決に必要な知見を引き出せば、ビジネス上の意思決定が可能となります。また、膨大な過去の実績データから傾向を分析することで、高精度な予測も行えます。

こうしたデータ処理を可能としているのが統計学で、行政や教育、医療などのさまざまな産業や、ビジネスではプロダクト、マーケティング、サービスなどの領域で多用されています。

■統計学の種類

統計学は、大きく記述統計推測統計ベイズ統計の3つに分類できます。

●記述統計

記述統計」とは、実在するデータに対してその特徴や性質を把握する手段です。データの平均や分散、標準偏差などを計算して分布を明らかにすることで、データの性質をわかりやすく変換することを目指しています。そのため、可視化できる表グラフ化などが広く用いられます。記述統計を用いた例としては、テストの平均点や偏差値などが挙げられます。

記述統計はデータをわかりやすくするための手法を学ぶ学問なので、そもそもデータが存在しないと分析ができません。その弱点を克服したのが、推測統計という考え方です。

●推測統計

推測統計」とは、手持ちのデータを分析して、まだ手に入れていないデータについて議論・推測する方法を学ぶ学問です。一部の「標本」から全体の「母集団」を推測する手段であり、標本の性質から母集団についての仮説を立てて分析を行います。選挙の出口調査などがこれにあたります。

●ベイズ統計

もうひとつの統計学が「ベイズ統計」です。ベイズ統計は、標本を必要とする記述統計や推測統計と異なり、標本を必要としないのが大きな特徴です。標本のデータが不十分でも、ある事態が発生する「事前確率」を設定して、情報が追加されるごとに事前確率が変化する「事後確率」を更新していきながら、本来起こるであろう事象の「主観確率」を導き出していきます。

主に未知の不確実なものを推定する場合に用いられ、新しい情報を取り込みながら結果を更新し続けるので機械学習との相性がよく、注目度が高まっている手法です。

記述統計と推測統計の違い

記述統計学では母集団と標本の区別がなく、ほぼ標本≒母集団とみなします。そのため統計できる範囲が標本そのものに留まります。一方推測統計では、一部のデータから母集団を見極めるので、標本<母集団となり、わずかな標本から元の大きなデータを統計できることになります。

これが記述統計と推測統計の大きな違いです。データを社会実装で活かせるようになるには、推測統計まで学んでおくとよいでしょう。

記述統計の活用例

データの特徴を知る記述統計は、どのように活用されているのでしょうか。代表例を紹介しましょう。

■国勢調査・人口調査

日本に住んでいるすべての人と世帯を対象とする、国の最も重要な統計調査である国勢調査人口調査は、すべてのデータを把握して用いる記述統計の一例です。

■勉強時間と偏差値の相関分析

勉強時間の長さ偏差値の高低の相関関係を分析した結果は、それぞれのデータを活かして傾向を把握する記述統計例のひとつです。

■全国模試の偏差値

模試の結果から平均点や偏差値を出すのも、データをその後活用しやすいように整理する記述統計の活用例です。

■ビッグデータを用いた売上データの分析

実在するビッグデータを用いて売上データを出し、最大・最小値の把握月別平均値などを算出するのも記述統計の得意分野です。

■表やグラフでデータの特徴を探る

データをもとに、表やグラフを作成してデータの特徴を探るのも記述統計学の一種といえます。

推計統計の活用例

一部の標本から母数を推測する推測統計の活用例としては、以下が挙げられます。

■平均年収

日本人全体の平均年収を算出したい場合は、まず日本人全体の人口から必要最低限の標本数を求めます。その標本のデータを集め、母集団となる日本人全体の平均年収を推測統計の手法を用いて推定します。

■試験結果予測

今回の模試結果から本番の入試の点数を推測したいなどの場合にも、推測統計を使います。過去の模試と本番入試の関係を標本として利用し、今回の点数を予測します。

■テレビ視聴率

テレビ視聴率も、推測統計の代表的な例として広く知られています。テレビのある全世帯のデータを取るのは非現実的であることから、地区ごと定数の世帯からデータを取り、それを標本に各地区の視聴率を予測します。

■選挙の当確速報

選挙の当確速報は、投票所の出口調査を利用します。出口で調べた投票者の回答を標本として全体を予測し、当選に必要な投票数を得た候補者を、「当確」としてメディア等で発表します。

■保険会社が利用する事故発生数予測

推測統計は、保険会社が事故発生件数を予測する際にも活用されています。過去のデータから得られた事故の発生率や死亡率などを元に、生命保険や損害保険などの保険料を算定しています。

■新薬の有効性判断、製品製作過程での不良品発生数予測など

推測統計は、新製品の開発やローンチにおける売上予測などの分野でも活かすことができます。また、モノづくりにおける不良品発生の確率なども、過去のデータから算出が可能です。

推測統計は産業やビジネスの活性化のほか、マーケティング戦略の策定や経営の意思決定など広い領域で役立てることができます。

まとめ

データサイエンティストやAIエンジニアを目指すのであれば、データの特徴を知りさまざまな分野に活かすことができる統計学の知識が必要となります。また、転職でデータを活かす仕事に就く場合も、記述統計や推測統計などの知識と使いこなすスキルは身につけておきたい技術です。就職・転職を有利に進めるためにも、ぜひ習得しておきましょう。

 

 

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