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音声認識の基礎知識|自然言語処理との違いや将来性を徹底解説

音声認識の基礎知識

音声認識は、音声をテキストに変換する技術のことで、ディープラーニングの登場やスマートフォンへの搭載により、急速に普及しています。音声認識は、多くの活用シーンで自然言語処理と組み合わせて運用され、今後のさらなる技術進歩や精度の向上により、新たなサービスの創出が期待されている分野です。

本記事では、音声認識がどのような技術なのか、基本的な仕組みや自然言語処理との違い、将来性なども含めて、詳しく解説します。

音声認識の基礎知識

 

初めに「音声認識」について、その意味や仕組み、もたらされる効果などを解説します。
 

■音声認識とは

音声認識とは、人が発した音声をコンピューターで認識させ、テキストデータに変換する技術のことです。人間は言葉をそのまま理解しますが、コンピューターは音響モデルや言語モデルを用いて、音声データを解析することで認識します。音声認識の技術は、ディープラーニングの登場により膨大な情報を処理できるようになったことから、著しく向上しました。

音声認識技術を利用した製品やサービスには、Amazon EchoやGoogle Nestなどのスマートスピーカーや、AppleのSiriなどの音声認識サービスがあります。これらはすでに私たちの生活に定着しており、普及が拡大しています。また、音声認識技術を用いた自動文字起こしによる議事録の作成や翻訳など、ビジネスシーンでも多用され、さまざまなサービスも登場しています。
 

■音声認識の仕組み

音声認識は、一般的に以下の技術を利用しながら、流れに沿って進められます。
 
1.音響分析:音声データをコンピューターが認識しやすいデータに変換する
2.音響モデル:音響分析で抽出した特徴量がどの音と近いかをパターン認識する
3.発音辞書:認識した音がどの単語に近いかを照合する
4.言語モデル:単語と単語の関係性を解析して文章を組み立てる
 

●音響分析
最初の音響分析では、入力された音声データの音の強弱や周波数、音と音の間隔、時系列など、さまざまな情報である特徴量を抽出し、コンピューターが理解できるデータに変換します。
 

●音響モデル
次の音響モデルの段階では、音響分析で抽出した特徴量を、あらかじめ学習していた音や単語の情報と照らし合わせ、どのパターンと整合するかを計算します。例えば、「ありがとう」という音声を入力した場合、音声分析で抽出した特徴量を用いて、「A-R-I-G-A-T-O-U」という音素になるように、音声を正しい文字にあてはめていきます。
 

●発音辞書
発音辞書の段階では、膨大なデータベースの中から音素の組み合わせを抽出して、単語として認識させます。例えば、音素を並べた「A-R-I-G-A-T-O-U」を、「A-RI-GA-TOU」という単語として理解させるイメージです。
 

●言語モデル
最後の言語モデルでは、ここまでに理解した単語を、膨大なデータベースから単語のつながりを予測して、より正確な文章に組み立てていきます。正しい文章として認識するには大量のデータが必要となります。そのため、「隠れマルコフモデル」などを活用して、文字や文字列のあとに続く文字の現れやすさを、確率で定義してパターン化することが推奨されます。これにより、音声だけに影響されずに、文脈の通った文章になるよう単語をつなぎ合わせることが可能となります。
 

■音声認識でもたらされる効果

音声認識というAI技術を活用することで、記事録作成やテープ起こしなどの記入作業が自動化できるので、業務の効率化につながります。コールセンターなどでは、オペレーターの応対品質の分析などにも活用しており、業務精度の向上も実現しています。このような業務の効率化や精度向上は、顧客に対するサービス改善や施策に反映でき、顧客満足度向上も期待できます。
 

音声認識と自然言語処理

 
続いて、音声認識と共に活用されることが多い「自然言語処理」について解説します。
 

■自然言語処理とは

自然言語は、私たちが日常やり取りしている日本語や英語などの言葉のことで、自然言語処理とは、その日常使っている曖昧さを持った言葉をコンピューターに認識させる技術のことです。自然言語の対照となるのがプログラミング言語で、 プログラミング言語には曖昧性がないことから、コンピューターに容易に認識させることができます。一方、曖昧性のある自然言語の意味を正しく理解させることは難しく、ディープラーニングにより、AIに大量の自然言語のデータを学習させて特徴を抽出し、その概念を獲得することで自然言語を理解できるようになります。
 

■音声認識と自然言語処理の違い

音声認識の領域は、音声データから文脈の通ったテキストに変換するまでの機能となります。一方で自然言語処理は、テキストから意味を抽出して、目的に応じた作業を行うことができます。

例えば、「ありがとう」をありがとうと認識するまでは音声認識の得意分野ですが、ありがとうに対して「どういたしまして」と返答をする技術は、自然言語処理の範疇となります。自然言語処理は、テキストを意味のある文として認識・処理ができるので、「どういたしましてと返す」という命令に対して操作を実行できる技術となります。
 

音声認識を活用した事例

 
音声認識と自然言語処理は共に運用されることが多く、スマートスピーカー・Siriなどの音声アシスタント・対話システムに使われています。取得した音声データをこれらの技術を活用して、さまざまなアプリケーションやサービスとして、提供されています。

また、声のトーンや間合い、発言内容などを精査する音声認識で感情分析もできるので、対話型のロボットなどに活用されています。

翻訳機能は、音声認識と自然言語処理で発話の内容を分析し、多言語に翻訳した上でテキストや音声で出力することができます。今では音声だけではなく、テキストや画像分析も可能な翻訳機能もあり、他国の人とのリアルタイムコミュニケーションも可能となりそうです。

最近のPCやスマートフォンには、内蔵マイクから音声データを拾ってテキストデータ化する、音声入力機能が多く搭載されています。ここにも音声認識の技術が活用されており、文字起こしの技術を応用した議事録サービスなども登場しています。
 

普及拡大が見込まれる音声認識・自然言語処理

 
音声認識や自然言語処理は、他のAI技術よりは生活や社会における浸透度が高く、これからますます拡大が予測されている分野です。インターネットの普及により、さまざまなモノ・コトがネットにつながったことから、すさまじいスピードで知識や情報が集約されています。これらのビッグデータを活かすことができれば、音声認識や自然言語処理の技術や精度が一層向上し、新たな製品やサービスの創出も期待できます。

このように音声認識や自然言語処理は、AIやディープラーニングの発展と大きく関わることから、これらの進化に伴い、さらなる技術向上と社会への実装を見込むことができます。そのため、こうした音声認識や自然言語処理、AI、ディープラーニングなどの知識やスキルを身につけている人材へのニーズは今後も大きくなると考えられ、これらの技術を習得しておくことで、就職や転職を有利に進めることができることにもつながります。
 

まとめ

 
音声認識や自然言語処理は、伸びしろが大きな分野であり、その技術や知識を有する人材は、今後も大きな需要を期待できます。音声認識・自然言語処理のAI技術を活用して、新たなシステムやソリューション開発をしたいと考えている場合や、これらに関わる企業に就職・転職をしたい方は、ぜひ参考にしてください。
 

 

 

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