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AIエンジニア・データサイエンティストになるなら受けておきたい統計検定。難易度や勉強法は?

AIエンジニア・データサイエンティストになるなら受けておきたい統計検定

需要が高まっているAIエンジニアやデータサイエンティストには様々なスキルが求められ、統計学に関する知見も必要とされます。統計検定はその実力を証明する資格なので、AIエンジニアやデータサイエンティストなどで就職・転職を考えているなら、上級の資格を取得しておくことをお勧めします。

本記事では、統計検定の概要や難易度、勉強法などについて詳しく解説します。

統計検定の概要

最初に、統計検定の概要を確認しておきましょう。

■統計検定とは

統計検定とは、一般財団法人統計質保証推進協会が実施している、統計に関する知識や活用力を評価する検定試験です。AIエンジニアやデータサイエンティストの需要が高まるにつれ、注目度が高まっている資格試験です。

試験の種類は、4級、3級、2級、準1級、1級、統計調査士、専門統計調査士、データサイエンス基礎、データサイエンス発展、データサイエンスエキスパートの10区分となっています。多様なニーズやレベルに対応しているので、自分の現状のレベル確認にも適しています。

統計検定は決められた受験資格がなく、年齢や学歴、実務経験などに関係なく誰でも受験が可能です。過去の記録では、中学1年生が準1級に、小学2年生が3級に合格した例もあります。

受験料は種目により異なるので、詳しくは、統計検定の公式サイトで確認するようにしましょう。

■実施日程・会場

統計検定は、1級11月に実施されます。受験会場は、東京23区内、立川、名古屋、大阪地域、福岡地域などとなります。1級以外のその他の種目は、コンピューター上で実施するCBT(Computer Based Testing)方式を採用しており、都合の良い日時に全国主要都市を含む約270か所から会場を選んで受験します。

■合格基準

合格基準は、3級が100点満点中の65点以上、それ以外の4級、2級、準1級は、同60点以上が合格となります。1級は「統計数理」と「統計応用」で構成されており、両試験に合格することで1級の合格とみなされます。また、統計調査士は70点以上専門統計調査士は65点以上データサイエンス基礎、発展は60点以上が合格ラインとなります。

■受験者と合格率の推移

統計検定の受験者数は、コロナ禍もあって2020年度が中止、2021年度のPBT方式試験が定員を設けて実施したことから少なくなっているものの、2019年で男性5,589人、女性1,663人、計7,252人と過去最高を記録しました。受験者の年齢は、2021年11月の試験で、21歳~32歳の範囲がボリュームゾーンとなっています。

合格率は、2021年6月の試験で、4級・3級は7割超えとなっているものの、2級34.1%、準1級23.6%、1級「統計数理」25.8%。1級「統計応用」24.0%、統計調査士28.9%、専門統計調査士25.7%と、準1級以上は4人に1人しか合格しない狭き門となっています。統計検定は、上級になるに従い難易度が高い試験と言えるでしょう。

統計検定を受験するメリット

統計検定を受験すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。

■統計処理の知識を習得できる

機械学習やデータ分析に携わるには、統計学や確率は必須となる知識です。統計検定の合格を目指して勉強することで、統計処理に関する知識や技能が身につきます。統計検定をきっかけに、AIエンジニアを目指すことも可能となります。

■データを適切に分析できるようになる

このほか、データに基づく客観的な判断能力や、科学的な問題解決能力なども育まれます。データをただの文字列として認識するのではなく、そこから意味を読み解くことができるリテラシーは、情報社会を生き抜く重要なファクターです。統計検定合格で得られるデータを適切に分析できるスキルは、ぜひ身につけておきたい技能と言えるでしょう。

■AIエンジニアやデータサイエンティストの就職・転職時にアピールできる

統計検定で合格することは、AIエンジニアやデータサイエンティストとして就職・転職する際の強力な武器となります。1級や準1級、データサイエンス基礎・発展などは実務に直結する知識を学べるので、仮に実務経験がなくても、即戦力となるアピール材料になります。

統計検定の難易度

ここからは、各種目の内容と難易度について解説します。

■統計検定4級

データと表やグラフ、確率に関する基本的な知識と具体的な文脈の中での統計活用力が試されます。4~5肢選択の問題(マークシート)が、30問程度出題されます。試験時間は60分で、100点中70点以上で合格となります。直近(2021年6月20日)の合格率は72.8%だったので、さほど難しくはなさそうです。

■統計検定3級

大学の基礎統計学の知識として求められる、統計活用力が試されます。CBT方式では4~5肢選択の問題(マークシート)が30問程度出題され、試験時間60分、100点中65点以上が合格です。直近(2021年6月20日)の合格率は75.6%でした。

■統計検定2級

大学基礎課程で習得すべきことについて検定が行われます。CBT方式では、4~5肢選択の問題(マークシート)が35問程度出題され、試験時間90分、100点中60点以上が合格です。直近(2021年6月20日)の合格率は34.1%3人に1人となり、4級・3級に比べ合格者が大幅に少なくなっています。

■統計検定準1級

大学の統計学の基礎的講義に続く応用的な統計学の諸手法の習得について評価されます。CBT方式では、5肢選択問題と数値入力問題で25~30問、試験時間90分、100点満点で60点以上が合格となります。直近(2021年6月20日)の合格率は23.6%と、4人に1人となりました。

■統計検定1級

実社会の様々な分野でのデータ解析を遂行する統計専門力が問われます。「統計数理」と「統計応用」の2つの試験で構成されています。いずれも論述式で、統計数理が5題の中から3問選択、統計応用は、申込み時点で人文科学・社会科学・理工学・医薬生物学の中から1分野を選び、受験時に5題出題される中から3問選択します。試験時間は、統計数理が午前中に90分、統計応用が午後90分となります。統計数理、統計応用両者の合格をもって、1級合格となります。

■統計調査士

統計検定3級合格程度の基礎知識に、社会人に求められる公的統計の理解とその活用力の修得が評価されます。5肢選択の30問程度の出題で、試験時間は60分、100点のうち70点以上が合格となります。

■専門統計調査士

統計検定2級合格程度の専門知識に、社会・経済で広く利用される統計や各種の調査データの作成過程、利用上の留意点などに関する総合的な知識水準を評価されます。5肢選択の40問程度の出題で、試験時間90分、100点中65点以上で合格です。

■データサイエンス基礎

データアナリティクス基礎として、 データハンドリング技能、 データ解析技能、 解析結果の適切な解釈などが問われます。Excelを使って処理した結果をもとに、多肢選択や数値・文字入力で問題に答える形式で、大問8題(大問1題当たり小問5問程度)、合計小問45問程度となります。試験時間は90分、100点中60点以上で合格となります。

■データサイエンス発展

数理、情報、統計、倫理・AIに関する大学教養レベルが試されます。多肢選択問題、数値入力問題が30問程度出題され、試験時間60分、100点中60点以上で合格です。

■データサイエンスエキスパート

計算、統計、モデリング、領域知識に関する大学専門レベルの内容となり、CBT形式の問題数が40問程度、試験時間90分、100点中60点以上で合格となります。受験料等詳細は、順次公表される予定です。

統計検定に合格するための勉強法

最後に、統計検定に合格するためにやっておきたい勉強法を紹介します。

■目標と目的を明確にしてスケジュールを立てる

統計検定に合格するにはやみくもに勉強を進めるのではなく、目標と目的を明確にすると合格までの道筋がはっきりとします。やるべきことも定まるので、高いモチベーションで学習を継続できるでしょう。試験日まで逆算して1週間単位でスケジュールを組むと、急な都合にも柔軟に対応できます。

■自分に合ったテキストを使う

統計検定では、各種目ごとに出題範囲が公開されています。そのため独学でも学ぶことが可能です。公式の参考書や問題集のほか市販品も出回っているので、自分が学びやすいものを選ぶようにしましょう。

■過去問を徹底復習する

過去問には、出題傾向や頻出範囲などのヒントが多く含まれています。統計検定の公式サイトに過去問が収納されているので、できるだけ入念に研究しておくようにしましょう。

■4級・3級に合格するなら公式問題集

7割以上が合格する4級や3級の合格を目指すなら、公式問題集をしっかりとやっておけば合格可能とされています。最低でも問題集をクリアして、試験に臨むようにしましょう。

■2級以上に合格するなら参考書+公式問題集

合格率が一気に低くなる2級以上で合格したいなら、問題集だけではなく参考書も活用して、応用力も身につけることが重要です。データサイエンス関連は頻繁に内容がアップデートされるので、時間経過と共に古くなる問題集だけではなく、オンライン学習も併用するとよいでしょう。

まとめ

統計検定は、自分のスキルのレベルを確認できるだけでなく、上級の種目に合格しておくと転職も有利に進められることでしょう。AIエンジニアやデータサイエティストとして転職やキャリアアップを目指すなら、統計検定はぜひ受けておくようにしましょう。

 

 

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