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【研究部門最前線Vol.20】全社横断でAI活用サービスを研究開発。インターネット×AIでデライトを届ける!

全社横断でAI活用サービスを研究開発。インターネット×AIでデライトを届ける!
株式会社ディー・エヌ・エー システム本部 AIシステム部

約50名のAIエンジニアが在籍、その約2割を博士号取得者が占める。
データサイエンティストも積極採用しており、「Kaggler」と呼ばれる、データサイエンティストたちが
分析モデルの構築を競うコンペプラットフォーム「Kaggle」参加者も多数在籍

インターネットにAIをプラスする

ゲームからEコマース、プロ野球球団の経営まで、幅広い事業を展開しているDeNA。常識に囚われることなく、新たな価値を持つサービスをスピード感をもって提供することを志向する同社は、数年前からAIを駆使した新たな事業やサービスの創出に着手している。そのAI技術開発の中核を担う部門が、AIシステム部だ。同部を率いる山田憲晋氏は次のように話す。

「当社はモバイル向けのゲーム事業で成長を遂げましたが、ゲーム分野の競争は激化の一途を辿っています。ゲーム事業に並ぶ新たな事業の柱を模索するなかで、折よくディープラーニングの技術に大きな進展が見られました。そこで、AI技術を軸とした、新たな事業へのチャレンジをスタートさせたのです」

これまで主力としてきたゲームやEコマース事業はAIとの相性がよいが、既存のサービスにAIを活用するだけでなく、新規ビジネスの創出を目指すことを同社は企図している。

「当社はインターネット上における大規模システムの構築力と運用力を武器に多くの事業を成功させてきましたが、大規模トラフィックをさばくインターネット技術はコモディティ化が進んでいます。そこでインターネットにAIをプラスしたコア技術を高めてビジネスを加速させる方針を打ち出しています。近年、スポーツ、オートモーティブ、ヘルスケア事業などに積極投資し、再成長に向けた新規事業の育成を進めてきました」

いずれの事業も同社にとって未知の分野へのチャレンジだったが、「オートモーティブやヘルスケアは、社会課題の解決に寄与するという意味で挑戦しがいがある分野」と、山田氏は胸を張る。DeNAは当該分野のノウハウを持っていなかったことから、事業ごとにパートナー企業と連携。例えばオートモーティブでは、日産自動車と無人運転車両を活用した交通サービスの実証実験や、次世代タクシー配車アプリ「MOV」の開発・提供のほか、コンピュータビジョン技術を活用した運転行動改善による事故削減ソリューションの開発などに取り組んでいる。ヘルスケア分野では、製薬企業が持つ化合物データをAIで分析、創薬工程の効率化を目指す共同研究を始めている。また、横浜DeNAベイスターズの戦力強化やファンの満足度向上を目指したAI技術の研究にも取り組んでいるという。

「すぐに成果が出ないものもありますが、原則、1〜2年のうちにビジネス化する前提でプロジェクトを進めています」と、山田氏は力を込める。

〝研究のため〞の研究はしない

約50名が在籍するAIシステム部の特色について、山田氏は、「論文発表を主眼に置いた研究、すなわち研究のための研究をしないこと」を挙げる。

「当社はこれまで多くのサービスを提供してきました。サービスを生み出し改善を続ける各事業部とそこに属するデータサイエンティスト、そして私たちAIシステム部の距離が近く、それぞれが目的を共有し、一体となってAIのサービス適用にかかわるなど、事業組織と研究開発組織が一緒にサービスをつくって運用していることが特徴です。各事業が積み上げた実データに先端AI技術をどう適用していくかなど、研究開発成果の事業化・サービス化にかかわることができるため、アカデミアでは経験できない躍動感や醍醐味を味わえる環境が魅力だと自負しています」

そんなAIシステム部では現在、マネジメント人材を必要としているという。

「AIエンジニアの数に対し、マネジメント人材が圧倒的に不足しています。多様なAIエンジニアのマネジメントを行いつつ、チーム全体で成果を出せる人材を求めています」

黒字化に成功するなど、横浜DeNAベイスターズの経営も軌道に。集客やチーム強化を対象にAI開発が進められている
社員数2000名を突破した今も、ベンチャースピリットは健在。ランチ中の雑談から生まれたアイデアがサービス化されるなど、意思決定から実行までのスピードの速さが同社の最大の強みだ
AI技術とビッグデータ分析技術を活用した交通事故削減サービス。車載カメラ、各種センサ、地図情報に基づき、脇見や車間距離不足、急ブレーキなどを検出する危険運転行動検出技術の開発を進めている
人気ゲーム「逆転オセロニア」では、“プレーヤー目線”のメリットを追求するため、強化学習と深層学習を活用し、さながら人間のようにプレイすることができるAIの開発を行っている

システム本部 AIシステム部 部長
山田 憲晋

やまだ・けんしん/1995年に大手電機メーカーへ入社し、TCPOffloadEngineなどの研究開発に従事。2008年7月、DeNA入社。「Mobage」のサービス開発・インフラ運用、ゲーム開発チームのマネジメントを経て、現在はDeNA全社のディープラーニングを中心としたAI活用事業の研究開発を行うAIシステム部のマネジメントに従事している。
株式会社ディー・エヌ・エー
設立/1999年3月4日
代表者/代表取締役社長兼CEO 守安 功
従業員数/2475名(連結:2018年3月末現在)
所在地/東京都渋谷区渋谷2-21-1
渋谷ヒカリエ
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